『スパイシー・ラブ・スープ』(愛情麻辣湯)
監督:張楊
出演:呂麗萍・濮存昕・王学兵・邵兵・徐静蕾・郭濤・徐帆
1998中国
お待たせました。10月11月とあまりの忙しさに電影倶楽部お休みさせていただいて申し訳ありません。2008年最後にご紹介するのは張楊監督の98年のデビュー作『スパイシー・ラブ・スープ』です。張楊監督といえば『こころの湯』『胡同のひまわり』などをご覧になったかたも多いでしょう。いずれも中国現代の親子の情を描いて心に残る作品でした。
この『スパイシー・ラブ・スープ』は98年公開当時、中国では同時期に公開された『タイタニック』と人気を二分する大ヒットとなりました。1組のカップルの結婚にいたる道筋を挟みながら5つの小品からなるオムニバス映画で、それぞれ高校生、定年退職した女性、倦怠期を迎えた若夫婦、離婚寸前の夫婦とその息子、そして「二度と離れない」と誓った若い恋人どうしを主人公に彼らの悩みや工夫や、そして運命の皮肉?などを描いています。
出演俳優陣もかなり豪華で、呂麗萍(上海家族・青い凧)濮存晰(乳泉村の子)はじめ王学兵(我愛ni)邵兵(T.R.I・・織田裕二と共演)徐静蕾(我愛ni・傷だらけの男たち)郭濤(活きる・鳳凰わが愛)などが競演。監督作もあり、今や押しも押されもせぬ大女優の徐静蕾はまだ若くて驚くほど初々しいし、最近作中井貴一主演の中国映画『鳳凰我が愛』で中井の牢獄仲間を演じている郭濤も出演しています。『鳳凰』では郭濤演じる老良頭という男は出稼ぎ中に事故死した友人を背負って故郷に帰ろうとしたところを見とがめられ、殺人を疑われて獄中に35年にわたってとらえられるという役柄ですが、この設定は、今年東京国際映画祭で上映された『帰郷』を思わせます。この映画も友人の遺体を故郷に担いでかえる男の話です。そしてこの『帰郷』の監督こそが『スパイシー・ラブ・スープ』の張楊であるというのも何か因縁を感じさせられます。
10年前ということで、変化の著しい中国では少々古くなってしまっているかもしれませんが、現代中国の都市生活の中での愛と人生の機微を味わえる作品です。
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この秋続々中国映画・・映画祭あれこれ(印象に残った1本ずつをご紹介します)
★山形ドキュメンタリー映画祭 「鳳鳴-中国の記憶」(王兵)50年代後半から反右派闘争での迫害の記憶を語る女性を3時間にわたって固定カメラで撮影。映画手法としては個人的には感心しなかったけれど、大賞を受賞。
★東京国際映画祭 「想い出の西幹道」(李継賢)文革後の田舎町を舞台に少年と一家の物語をドキュメンタリータッチで描き出す。印象的な作品。審査員特別賞受賞。
★中国映画週間「雲水謡」陳坤、ビビアン・スー主演の台湾・中国合作映画だが、ペースは完全に中国寄りで台湾はしてやられ、中国の底力を思い知らされる。へんな映画だが一見の価値あり。確か中国の映画賞、金鶏賞を受賞したはず。
★香港映画祭「天堂口」ダニエル・ウー、張震主演。これもお定まりの上海に夢をもとめ
黒社会に引き込まれていく若者たちの話だが、イケメン鑑賞にはもう最高という映画。
★東京フィルメックス「アイ・イン・ザ・スカイ」(ヤウ・ナイホイ)これはあまり期待もせずに見たのだがよくできた娯楽作品だった。香港警察の尾行班の若い見習女性刑事が主人公。一口でいえば女の子が先輩刑事に支えられ教えられ一人前になっていく事件を描く。人間の描き方がけっこう公平で暖かく好感が持てる。
★中国映画祭2007年 この映画祭は残念ながら未見。「スーツケース」「ぼくの最後の恋人」「恋する二人」「早熟」など公開してほしい映画がけっこうあるのだけれど。
(小林美恵子)


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