家有囍事
監督:高志森
出演:黄百鳴 張國榮 周星馳
1992 香港
あけましておめでとうございます!というと少々時期がずれている感じもしますが、中国ではご存じの通りお正月は旧暦で祝います。今年は2月6日が過年、7日が春節です。
さて、映画館ではこの時期「賀歳片」といって、新年を祝うおめでたい正月映画が上映されます。オールスター総出演で歌ったり踊ったり、ドラマもあり最後は出演者が並んで拱手し「恭喜發財!」と挨拶をして終わり、というもので、内容的には他愛のない喜劇、ことば遊び的なしゃれなどもあって、香港ローカルな内容もあったりして一般的でないせいか、あまり日本で公開されることはないのですが、その年どんな風俗で、どんなことが流行っていたか、どんな明星が人気があったかとか結構わかりますし、中には傑作とされている作品もあります。今回はそんな1本、少々古いのですが、92年春節に香港で大ヒットしたお正月映画『家有囍事』をご紹介します。
この映画はもともと88年周潤發(チョウ・ユンファ)主演でジョニー・トウ監督が作った『僕たちは天使じゃない』という映画のリメイクで、香港のある家庭の三兄弟の愛や恋を描いています。長男に扮するのはこの映画のプロデューサーでもある黄百鳴で、彼は自らも出演するこのような旧正月コメディをたくさん製作し数々のヒットを飛ばしました。次男は亡き張國榮で、この映画のレスリーは彼のゲイ演技史の上でも必見。『覇王別姫』のコメディ版といってもいいかも・・三男を演じる周星馳は『少林サッカー』や『功夫』などで、今や香港の喜劇王。今年も『長江七号』という父子の情と宇宙人?をからめた新作コメディで春節の話題をさらっているようですが、さてこれは日本公開なるか・・・・
対する女性陣ですが、長男の妻は香港のコメディエンヌとしてはナンバー1といっていい呉君如(サンドラ・ン)、かつてレスリーの恋人と噂されたこともあり、結婚・出産を経て活動を再開した毛舜筠(テレサ・モウ)、そしてまだ初々しい張曼玉(マギー・チャン)でいずれも若々しくてイキのいい姿です。浮気者で妻をないがしろにする長男に怒り家を出て花開く長男の妻、一日TVの前に座っている三兄弟の両親とそれを世話する長男の妻、両親とは従姉妹にあたり、年は若いけれど三兄弟にとっては「おば様」になるテレサ・モウのバイクを駆って活発に動き回る姿、いっぽうフラワーデザインや料理に打ち込む次男坊レスリー。この映画あくまでも軽く楽しく描きながらも、実はフェミニズム・ジェンダー・高齢者問題などにも肉薄?していると思わせるところがただ者ではない・・・若いプレイボーイ三男と女朋友マギーの恋には『欲望の翼』『ゴースト・ニューヨークの幻』『プリティ・ウーマン』『ターミネーター2』など当時ヒットした映画のパロディも盛り込まれ、ほんの一瞬東京ロケもありで楽しめます。
特にレスリー迷にとってはよく知られた作品ですが、日本では劇場未公開。レスリーの死後日本語字幕付きのDVDが発売されました。
このお正月中国では・・・・・
『投名状』(陳可辛監督 劉徳華 李連傑 金城武)VS『集結号』(馮小剛監督)
お正月を広州ですごしましたが、中国映画ではこの2本がともに大入りという感じでした。前者は清朝末期太平天国の乱を舞台とした義兄弟もので昔あった『ブラッドブラザーズ』のリメイク。ピーター・チャン監督の初の?時代ものでもあります。後者は1948年国共内戦からおよそ10年を描いた、これもバリバリの戦争映画+共産党賞揚映画の気配もあり、中国の社会状況の映画への反映について少々考えさせられます。そのほかには夏雨・曽志偉・ジジ・リョンの喜劇『棒子老虎鶏』、王家衛がジュード・ロウ、ノラ・ジョーンズら欧米の俳優を使って撮ったフランス・香港合作『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(藍苺之夜)などが上映中。最後の王家衛作品は『重慶森林』(恋する惑星)みたいな話で、3月には日本でも公開されます。(小林美恵子)
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